視線

「鋼の」
「うるさい黙れ。」

まったく、久しぶりに会う恋人に向かって随分つれないね。

「鋼の。」
「・・・・・・・」

金色の恋人は分厚い本を抱え、瞬き一つすらしない。

「鋼のー。」
「・・・・・・・・・・」

まったく、隙だらけじゃないか。

ロイはエドワードに近寄って横から見つめる。
窓から差し込む光でエドワードの髪の毛はいつもより輝いて見えた。

髪を括っている紐を解いてみたが、エドワードは気づきもせず熱心に本を読んでいる。

少し近寄って髪を梳く。
反応はない。

髪に口付けてみた。
それでも愛しい子は、身じろぎせずに本を読んでいる。

つまらないな・・・・

エドワードの髪を指に絡ませて、そんなことを思っていると

「・・・あんたさ」
「うん?」

やっと振り向いてくれたのかと、少し声を弾ませる
しかし目線は本に書かれている文字。

「俺が本読んでるの、わかるよな?」
「もちろんだとも。」
「なら・・・邪魔するなよ・・・」

驚いた。一度集中すると周りの声が聞こえなくなると思っていたのに。

「集中できないから?」
「そうだよ。」

自惚れてもいいだろうか。これは。

「何故?」
「何故って・・・」

愛しい子の視線は本から外れ

「言えるわけない・・・」

小さく、小さく、声にした言葉。

「うん?聞こえるように言ってくれ。」

もう少し。もっと声を聞かせて。

「視線が邪魔なんだよ!!普通、ずっと見られてたら気になるだろ!?」

やっと私を見た。その目で。

「・・・まぁ、そういう事にしておいてあげようか。」
「・・・なんの話・・。」

私は立ち上がって、いつもの椅子に座る。
手には万年筆。

「それは、私の方が教えてもらいたいものだ。」
「・・確信犯め・・」
「なんとでも。」

君のために、早くこの紙切れを片付けよう。
そして、言いかけた言葉を聞き出さなければ。

集中しだした上司には聞こえないように
小さく、小さく

「言えるわけない・・・あんたが傍にいるから。だなんて・・・。」


そういい残し、エドワードは再び本の世界へ旅立った。


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コメント


久しぶりの更新でございます
ロイ視点はなんか難しいですね;

リクエストがありましたらですが、
エド視点のも書いてみたい^^